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2014/04/13


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【高橋昌之のとっておき】朝日・毎日への反論(8)集団的自衛権行使に反対なら説明責任を果たせ

 source : 2014.04.12 産経ニュース (クリックで引用記事開閉)


安倍晋三政権が目指す憲法解釈変更による集団的自衛権行使容認に対して、朝日、毎日両新聞は相変わらず、反対論を展開しています。私は前回のこのコラムでも両紙の反対論の問題点を指摘しましたが、両紙の論説、編集幹部もこれを読んでいただけたのか、朝日は4日付朝刊から、「集団的自衛権 読み解く 安保実態編」という連載企画を5回掲載して政策的な検証を行い、毎日は1日付朝刊の「社説を読み解く」で集団的自衛権の行使容認を取り上げ、反対の社説を掲げた理由を説明しました。

その姿勢自体は評価したいと思いますが、内容はいずれも私からすると、自らの反対論を何とか正当化したいという弥縫(びぼう)策にしか思えないものでしたので、今回もまたこの問題を指摘したいと思います。

まず、朝日の連載企画は、(1)行使容認3つの想定-ペルシャ湾での機雷除去、朝鮮半島有事、南シナ海の領有権をめぐる緊張(2)北朝鮮ミサイルへの対処(3)公海上での米艦防護(4)国連平和維持活動(PKO)など自衛隊の海外における平和協力活動(5)尖閣諸島への武装漁民上陸-をテーマにしたものでした。

「さすが朝日」と思ったほど、それぞれの回の前段で展開した日本の安全保障の実態と問題点は、取材に基づいていてそれなりに納得できる内容です。しかし、すべての回の締めくくりは、決まって「しかし…」「ただ…」という接続詞から始まり、防衛省幹部など匿名の発言を引用して、集団的自衛権行使への反対論や懸念を表明しています。前段の内容からどうして、こんな結びになるのか、読んでいて不自然な印象だけが残りました。

たとえば、ペルシャ湾での機雷除去については、日本の輸入原油量の8割が通過するペルシャ湾・ホルムズ海峡を機雷で封鎖することをイランが再三示唆してきた経緯や、その場合に米国が日本に掃海を求める可能性が十分あることなどを指摘し、「集団的自衛権の行使を認めれば、戦闘中でも日本は機雷を除去できるようになる」としています。

ここまではその通りで正しい指摘なのですが、この後、唐突に「ただそれは、戦争に加わることにほかならない。防衛省幹部は『集団的自衛権の行使とは、米国と一緒に他国と戦争することだ』と言い切る」として、「戦争に巻き込まれる」との反対論を持ち出し、締めくくられています。すべての回がこれとほぼ同じ展開でした。

前段では政策的に集団的自衛権行使の必要性を指摘していながら、締めくくりはいつもの観念的な反対論が出てくる。これではなぜ、朝日がなぜ政策として集団的自衛権行使に反対なのか、さっぱり分かりません。多くの読者もそう感じたのではないでしょうか。

加えて、私を唖然(あぜん)とさせたのは、7日付の「集団的自衛権行使反対63% 昨年調査から増」という見出しの世論調査の記事でした。多くの報道機関の世論調査では、集団的自衛権行使については、賛否がほぼ拮抗(きっこう)していて、「分からない」がまだ多いというのが、最近の傾向です。

そこへこんな記事が出たものですから、私は「そんなに反対が多いという調査結果が出たのか」と驚いて読んでみたところ、その調査は「郵送」という形式で行われたものでした。記事でも調査方式について詳しい説明はなく、2045件という有効回答数だけが示されていました。少なくとも何件郵送したのかを明らかにしなければ、回答率が分かりません。書かなかったところを見ると、相当低かったのでしょう。

そもそも、朝日新聞から郵送で世論調査が送られてきて、それにまた郵送で回答するという人は、多くが「朝日ファン」であるに違いありません。その回答の割合を示されても、「世論」を反映したものとは到底言えないでしょう。朝日はこの記事を1、3、10、11面で大展開して掲載しましたが、私は結局、「朝日ファンはそう考えているんだな」と思っただけでした。それをいかにも「世論だ」と印象づける紙面展開は、まさに自らの主張を正当化する弥縫策としか言いようがありません。

一方、毎日の「社説を読み解く」はまず、集団的自衛権行使について主張した2月13日付の「今は踏み出す時ではない」、3月14日付の「問題だらけの解釈変更」という2本の社説について、「政治部、外信部出身の論説委員を中心にチームを作り、議論を重ね、チーム内の検討を経た基本見解を論説委員全員の討論にかけ、さまざまな意見をぶつけあったうえでまとめた」と説明しました。

「さぞかし賛成、反対両論が出されて活発な議論が行われたのだろう」と思って、読み始めたのですが、結局、具体的にどのような議論が行われたのかについての紹介はなく、肩すかしを食らってしまいました。これでは読者に対して、社説での主張がどのようにして導き出されたのかという説明には全くなっていません。

内容は2本の社説を繰り返しただけのもので、要は「中国・韓国との緊張緩和や関係改善に取り組まずに集団的自衛権行使に踏み出すべきではない」、「集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更は、憲法の許容範囲を超えている」ということでした。

この中では「集団的自衛権の行使容認で朝鮮半島有事への効果的な対応が可能になる側面はあるだろう。集団的自衛権の議論を封じて将来の手足を縛るべきではないと考える」、「時代の変遷とともに憲法解釈を見直すことは、一般論としてはあり得る」とも書いていますから、「反対一辺倒というわけにはいかない」という毎日の苦悩も読み取れます。それにもかかわらず結局、先の結論に結びつける記事の展開はやはり、「観念論」の域を出ていません。

毎日の論説委員室も外交・安全保障の専門家が健全に政策論議を重ねているとしたら、集団的自衛権についてはおそらく賛成、反対の両論があるはずです。ぜひともそれを紹介して、そのうえでなぜ反対という結論なのかを分かりやすく説明してもらいたいと思います。

これに関連して、私がなぜなのかと思ったのが、3月30日に放送された「たかじんのそこまで言って委員会」という番組でした。そこでは産経、読売、朝日、毎日の4大紙の社説を検証するという企画が行われ、各紙の論説委員に出演を求めたということなのですが、朝日と毎日の論説委員は出演しませんでした。その理由について、朝日は「自らの主張は自らの紙面で行う」とし、毎日は回答しなかったということです。

集団的自衛権行使に限らず、これほどさまざまな問題で4大紙の主張が真っ向から対立しているのですから、国民はどうしてそういうことになっているのか、どちらが正しいのかを知りたいはずです。私はこの番組は好きで勉強にもなることから、よく見ているのですが、4大紙の社説検証という企画も視聴者の要望に応えるものだと思います。その出演を拒否するというのは、「出演すると何か不都合なことでもあるのか」と疑いたくなってしまいました。

国民のマスコミに対する視線は厳しさを増しており、「マスゴミ」などと揶揄(やゆ)されるほど不信感も募っています。朝日、毎日は8億円を借り入れたみんなの党の渡辺喜美前代表に対して、「説明責任を果たせ」と声高に主張していますが、それなら自らもきちんと説明責任を果たすべきだと思います。

前回に引き続き今回も、なぜ憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認すべきなのかを改めて書く余裕はありませんでした。その点は昨年のコラムで書いていますので、それを参照していただければと思います。

また、その代わりと言っては何ですが、自民党の石破茂幹事長が「日本人のための『集団的自衛権』入門」(新潮新書、本体680円)という本を出版していて、集団的自衛権行使の必要性や正当性について分かりやすく説明しています。2時間程度で読める分量ですので、賛成の方も反対の方にもぜひ読んでいただきたい一冊で、おそらくさまざまな疑問が解決することと思います。

繰り返し述べますが、集団的自衛権の行使について、国民はもう「観念論」には辟易(へきえき)としていて、合理的、論理的な「政策論」によってその是非を見極めたいと考えています。朝日、毎日両紙が過去の主張に縛られてこれに応えなかったとしたら、読者に見放されるだけだと思うのですが、いかがでしょうか。


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