source : 2026.05.18 zakⅡ (ボタンクリックで引用記事が開閉)
浅野健一・元同志社大教授の講演会が物議
沖縄県名護市辺野古沖で起きた、同志社国際高校の女子生徒ら2人が犠牲となった悲劇的な転覆事故。事故から2カ月が経過しようとする中、遺族の傷口をえぐり、その尊厳を根底から踏みにじるような事態が起きた。
5月17日、那覇市内で開かれた学習会で、元同志社大学教授の浅野健一氏が行った発言に対し、亡くなった武石知華さんの遺族がSNSで怒りを露わにした。人権と報道の専門家を自称する人物による「口封じ」とも取れる言動に、ネット上では早朝から批判の嵐が吹き荒れている。
■「親であっても代弁すべきではない」という残酷な発言
問題となっているのは、産経ニュースが報じた浅野氏の講演内容だ。浅野氏は、事故で亡くなった知華さんの遺族がSNSやnoteで発信を続けていることに対し、次のように言い放った。
たとえ親子でも別人格であり、親が亡くなった娘の意思を代弁すべきではないのではないか
この報道を受け、亡くなった女子生徒の遺族が綴る「辺野古ボート転覆事故 遺族日誌」の公式アカウントは、は18日午前3時24分、X(旧ツイッター)に以下の通り投稿した。
浅野「親であっても娘の意思を代弁すべきではない」
浅野「同志社に対するバッシングが広がることは女子学生は望んでいないのでは」
浅野「”天国から声が聞こえる、抗議を続けてほしい”は素晴らしい投稿」
姉「元同志社大学教授の人権と報道の専門家(?) がこんな矛盾したこと言うと 同志社に対するバッシングが(以下略)」
遺族は、浅野氏が「親は代弁すべきではない」とする一方で、自らは「女子学生は望んでいない」と死者の意思を推測し、さらに沖縄タイムスが後に謝罪・削除した「天国から抗議を続けてほしい」との投稿を「素晴らしい」と称賛した事実を並べた。
遺族が怒りを抑えながら、姉の反応を綴った短い記述の中に、専門家を自称する人物が抱える論理の矛盾が如実に浮き彫りとなっている。
■沖縄タイムスでは削除された「天国からの声」
背景には、沖縄タイムスの投稿削除問題がある。5月、同紙は「天国から二人の声が聞こえてくる。『誹謗中傷にめげず、抗議活動を続けてほしい』と」との読者投稿を掲載したが、批判を受けて「個人の尊厳を軽んじた」と謝罪し、削除した。
遺族は、投稿プラットホームnoteで綴ってきた「娘は誰かの主張のために沖縄へ行ったのではない」という言葉は何よりも重いのではないのか。
「死者の声」を都合よく利用しようとするする側の暴走を改めて露呈した形だ。
■SNS上に渦巻く怒り
遺族が18日午前3時24分に投じた一通のポストは、深夜・早朝の時間帯であるにもかかわらず、通勤時間帯の午前8時を待たずして128万回を超える表示を記録。午前10時30分現在、250万回を超え、シェア1万以上と怒りが拡散している。
そこには、人権の専門家を自称する人物が、遺族の口を封じながら自らの政治的主張を優先させる姿勢に対する、市民からの静かな、しかし激しい憤りの声が渦巻いている。
SNS上に寄せられた主な反応は以下の通り。
これらの声に共通するのは、浅野氏の主張する「別人格ゆえに親は代弁すべきではない」という理屈が、実際には遺族の口を封じ、自分たちの都合の良い「亡くなった人の声」を押し通すための道具に使われていることへの違和感だ。
- 代弁すべきで無いといいながら他人が代弁。左翼思考は勝手すぎます
- めまいがするような、信じられない発言
- これで人権の専門家って信じられん
- 人権意識皆無の報道業界人に限って『人権と報道・連絡会 世話人』を称する。皮肉、憤り超えて呆れる感情しか湧いてこない
■日本共産党・田村代表による公式謝罪
こうした浅野氏らの動きがある一方で、講演と同日の17日、日本共産党の田村智子代表は那覇市内で演説し、ヘリ基地反対協議会の構成団体として初めて公式に謝罪した。
田村氏は「修学旅行の高校生を船に乗せたこと自体が重大な誤り」と明言し、「ご遺族の悲しみや怒りがどれほど深いか。事故原因の解明、ご遺族への謝罪と補償が行われるよう尽力をしていく」と強調。抗議団体側が遺族への直接謝罪を未だ行っていないことについても「適切さを欠いている」と批判的な見解を示した。
■「政治闘争」に犠牲者を利用する会の異常性
そもそも、浅野氏が基調講演を行ったこの「緊急学習会」は、その開催趣旨からして違和感があった。「人権と報道・連絡会」が主催した同会の告知パンフレットには、事故を「乗り越え、辺野古新基地建設阻止を強化しよう」という文字が躍る。自らの陣営が引き起こした凄惨な事故を、真摯に検証するどころか、さらなる政治闘争の「起爆剤」として利用しようとする意図が見え隠れする。
講演を終えた浅野氏の見解はどうなのか。18日、自身のFacebookを更新。投稿では、遺族や市民から寄せられた猛烈な抗議を「妨害」と位置づけ、自らの正当性を強く主張する内容となっている。
■浅野氏がFacebookを更新 抗議を「極右の妨害」とレッテル貼り
浅野氏は投稿の中で、学習会の告知後に寄せられた10数件の抗議電話について「組織的な動き」と断定。さらに、会場に足を運んだ市民らに対し、「極右・日本会議・靖国派の高市早苗自民党系の人物と思われる」と一方的なレッテル貼りを行った。
遺族側が抱く「事故を政治利用されたくない」という切実な願いを真摯に受け止めるどころか、自らの政治的主張に対立する者すべてを「特定の政治勢力」として排斥する姿勢が鮮明となっている。
■沖縄タイムスの謝罪を「忌まわしい自主検閲」と批判
特に物議を醸しているのが、沖縄タイムスの投稿削除問題に対する言及だ。浅野紙は「天国から抗議を続けてほしいという声が聞こえる」とした読者投稿について、死者の尊厳を傷つけたとして謝罪・削除したが、浅野氏はこれを「忌まわしい自主検閲」「一線を越えた削除」と激しく批判した。
浅野氏は、この削除された投稿こそが「まっとうな指摘」であると称賛。遺族が「死者の意思を勝手に断定しないでほしい」と訴えている事実を「世間の圧力」と呼び、メディアがそれに屈したと主張している。
■事故を「政権による運動抑圧」へすり替え
浅野氏は講演のレジュメやFacebook投稿を通じ、文部科学省による学校法人同志社への調査を「国家による私学への教育介入」と批判。さらに、事故報道そのものを「日米軍事同盟による大軍拡を進める政権とメディアが共謀し、反対運動を抑圧するための政治利用」とする独自の持論を展開した。
投稿の結びでは「ご遺族のお気持ちは大切で私も受け止めている」としながらも、直後に「一方で、ヘリ基地反対協など沖縄や日本の反戦反核運動が萎縮してはならない」と強調。犠牲者の尊厳や遺族の心情よりも、あくまで「運動の維持」を最優先させるという、同氏の「人権」に対する歪んだ優先順位が浮き彫りとなった形だ。
浅野氏は、学習会を告知するパンフレットの記述でも、事故報道について「極右の高市早苗自維政権と産経新聞が率いるキシャクラブメディアが、この事故を徹底利用して……誹謗中傷を繰り返しています」と主張していた。
その上で、「亡くなった生徒と金井牧師が天国で、高市自民党政権と政治家の動きをどう見ているのかを考えたいと思います」と結んでいる。
亡くなった生徒の心中を勝手に捏造し、現政権批判の道具に仕立て上げる――。これこそが、遺族が静かに指摘した、浅野氏らの言う「人権」の正体なのか。


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