from :: Asahikawa Hokkaido

passer-by198

primetime pencil

2013/12/12


Posted

ポール・クルーグマンが偽左翼マスメディアの喧伝する「減税」「規制撤廃」など「財政規律必要論」の嘘を論破

The Plot Against France / PAUL KRUGMAN


source : 2013.12.10 The New York Times (ボタンクリックで引用記事が開閉)

ポール・クルーグマン「フランス国債格下げについての陰謀」


source : 2013.12.10 現代ビジネス (ボタンクリックで引用記事が開閉)



■政治的文脈によって格下げとなった

11月8日、債権格付け機関のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がフランスの格付けを下げた。これが重大ニュースとなり、フランスは危機的状況のようだ、と大々的に報じられた。しかし、市場はあくび。フランスの史上最低に近い借入コストは、ほとんど動かなかった。

これは一体どういうことなのか。答えは、S&Pの行為は、金融引き締めを取り巻く、政治的文脈の中で見る必要があるということだ。つまり格下げは経済ではなく政治だ、という意味である。

このフランスに対する陰謀(実に多くの人がフランスの悪口を言うので、私は冗談半分でこう言うが)は、ヨーロッパでもアメリカと同様に、財政にガミガミ言う連中は、本当のところは、財政赤字の問題を気にしていないという明白な証拠である。その代わり連中は、債務への恐怖をイデオロギー的な行動計画の実践のために利用している。そしてそれに同調しないフランスは、絶えず否定的なプロパガンダの標的となってきた。

■ドイツよりも生産性の高いフランスの労働者

何のことなのかちょっと説明しよう。1年前にエコノミスト誌は、フランスは「ヨーロッパのど真ん中にある時限爆弾」で、それに較べたらギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの問題は取るに足りないと言明した。2013年の1月には、CNNマネーのシニアエディターが、フランスは「自由落下」中で「経済的なバスティーユ牢獄に向かっている」と断言した。同様の所感は、あらゆる経済のニュースレターでも見られた。

こうした表現が飛び交うからには、フランスのデータは最悪に違いないと思うだろう。しかし別格のドイツをのぞき、実際は、フランスは経済的困難を経験しながらも、一般的に近隣諸国と同様か、それ以上のパフォーマンスを上げている国だ。

最近のフランスの成長は鈍いが、たとえば、いまだAAAに格付けされているオランダよりは、ずいぶん上等だ。そして標準推定によると、12年前のフランスの労働者は、実際のところ、ドイツの労働者より少しばかり生産性が高く、意外にも今もってそうだと言う。

また一方で、フランスの財政の見通しには、まったく問題がない。財政赤字は2010年以降急減し、IMFは、フランスの債務対GDP比は今後5年間にわたり、おおよそ安定状態が続くと予想している。

■セーフティ・ネットの解体を求めた欧州連合

人口の高齢化という長期的な負担はどうか。これはほかの富める国と同様に、フランスにとっても問題だ。しかし政府の綱領が出産を奨励し、働く女性の生活を支援したこともあって、出生率はヨーロッパの大部分の国よりも高い。その結果、人口の見通しは、ドイツを含めた近隣諸国よりも遙かに良好だ。同時に、フランスの健康保険制度は、低コストで高いクオリティーのサービスを提供しており、今後、これは財政上の大きな利点となるだろう。

ということで、数字の面では、フランスが特に悪く言われる理由は見当たらない。いったい何が起こっているのか、とふたたび疑問がわく。

それを解く鍵がこれだ。欧州委員会の経済・通貨問題担当委員で、厳しい緊縮経済政策を裏で牛耳るオリ・レーンは、賞賛に値すると思われるフランスの財政政策を退けた。理由は、その財政政策が支出削減でなく税収増に基づくからだ。増税は「成長を破壊し雇用創出を妨げることになるだろう」と彼は断言した。

要は、財政規律に関する私の発言などおかまいなしに、セーフティ・ネットを解体しろというわけだ。

■財政破綻しかけたアイルランドの例

格下げに関するS&Pの説明は、それほどあからさまではない。しかし結局、同じ理由だ。フランスが格下げされたのは、「フランス政府による最近の予算上および構造的な税制改革への手法は、製品、サービス、労働各市場の改革手法と同様に、実質的にフランスの中期的な成長の見通しを向上させるとは思えない」からだ。繰り返すが、予算の数字はどうでもいい。減税と規制撤廃がないじゃないか、というわけだ。

レーン氏やS&Pの要求は、実際には、経済にとって歳出削減が増税に勝るという確実な証拠に基づいていた、と考える向きもあるだろう。しかし、そうではなかった。事実、IMFの調査では、不況期に赤字を削減しようとすると、逆のことが起こる。一時的な増税の方が歳出削減より被害が少ないのだ。

「構造改革」の奇跡について話しはじめる人がいたら、まゆ毛にたっぷり唾を塗って聞いた方がいいということもお忘れなく。

構造改革というのは、たいがい自由化を婉曲した表現だ。そして自由化の利点となると、これはもう、メリット、デメリット、さまざまだ。思い出してほしい。アイルランドは構造改革によって、1990年代と2000年代に大いに賞賛された。現英国財務相のジョージ・オズボーンなどは、2006年にそれを「輝ける実例」と呼んだが、結果は見ての通りである。

■フランスに許されざる罪はあるのか?

読者が、これらすべての話はどこかで聞いたことがあるな、と思うなら、それもそのはず。米国の緊縮財政推進派はほとんど一貫して、実際の赤字削減より高齢者向け医療保険制度や、社会保障制度の予算削減に、ずっと強い関心を持っていることははっきりしている。ヨーロッパの財政緊縮派も、同じ馬脚をあらわしているわけだ。

フランスは、貧しく不運な人々に苦痛を押しつけることなく、財政上の責任をとるという、許されざる罪を犯した。したがって罰して当然、というわけだ。


0 Comments :

「jQuery」と「jQuery UI」で HTML に彩りを添えよう…


「導入」「Button」「Accordion」「Tabs」「Effects/Slide」
「Progressbar」「Dialog」「Tooltip」「Menu」
「Extra」 / 公式「Widgets」以外の「jQuery UI」スクリプト
Blogger Template Customize Universal / INDEX

Blogger テンプレート・カスタマイズ / 全般を解説
高速化・最適化対策の結果と備忘録