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2017/11/11


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【環境ビジネスの欺瞞】「CO2が原因で南の島が沈む」そんな報道にドイツから思う違和感 気候変動会議開催とともに思うこと

 source : 2017.11.10 川口マーン惠美「シュトゥットガルト通信」 (クリックで開閉)






■パリ協定から抜けようが、抜けまいが…

11月6日、ドイツのボンで23回目の気候変動会議、COP23が始まった。期間は12日間。

ボンは東西ドイツ統一の前は西ドイツの首都だったが、こぢんまりした町なので、「首都」ではなく、「首村」といわれていた。そこに今、世界中から3万人もの人間が来ている。NGOだけでも500グループ、ジャーナリストが1000人以上。ボンはおそらくかなりごった返しているはずだ。

今年のCOPは、南太平洋に浮かぶ島国、フィジー共和国が、ドイツと並んでCOPの開催国となっている。なぜかというと、この島がもうすぐ海に沈むかもしれないからだそうだ。




フィジーが沈むのを止めるためには、石炭、とくに褐炭の火力発電所を即刻止めろ!というのが、環境保護活動家たちの主張だ。その運動に、昨今はプロテスタント教会までが加わっている。ドイツの教会は、このごろ何だか政党のようになってきた。

COP開催前の11月4日、何千人もの活動家がボンで石炭火力反対のデモをした。そのうちの100人近くは、ハンバッハという褐炭の露天掘りをしている敷地に不法侵入。ドイツが発電に未だに褐炭(品質が劣るためCO2を多く排出する)を使っていることに対する抗議だ。

もちろん警察が止めたが、なぜかドイツでは、その違法行為があたかも正義のように報道される。右翼が他人の会社の敷地に忍び込んで暴力を働けば、極右と言われて吊るし上げを食うだろうに、左翼の場合はあくまでも「活動家の勇み足」で済むのが不思議といえば不思議。




一方、ボンのデモの方も派手なパフォーマンスが満載だった。地球儀の模型の上に乗っているのは、煤で顔が真っ黒になったメルケル首相のお人形。現在、ドイツの発電の燃料は、石炭と褐炭が45%で最大のポジションを占める。

その他、煙がもくもくと吹き出す松明を掲げた自由の女神。これはもちろん、去年のCOPで決まったパリ協定から降りようとしているアメリカへの批判。また、「Trump: Climate Genocide(トランプ: 気候ジェノサイド)」というプラカードもあった。ジェノサイドとは、ドイツのホロコーストのような、一民族を滅ぼすほどの大量殺戮の意味だ。いくら何でもおかしくないか?

パリ協定から抜けようが、抜けまいが、アメリカのCO2の排出量がこれから劇的に増えることは考えにくい。しかし、途上国の場合は規制が緩く定められているため、CO2を増やしても目標値は守れる。

たとえば、世界で一番大気汚染のひどい都市を抱えるインドは、将来まだ火力発電所を現在の2倍に増やせるし、世界第2の経済大国である中国も、途上国扱いなので、2030年まではCO2を増やしても違反にならない。

なのに、ドイツの第一テレビでは5日、「トランプは気候に関しては、シリアの独裁者アサド大統領と、不倶戴天の敵ニカラグアとともに、情けない三頭政治を形成している」と言う。確かに現在、内戦でそれどころではないシリアと、反米で有名なニカラグアはパリ協定に参加していないが、後者が不参加の理由は、より厳しい環境規制を求めているからだとか。

ちなみに、先進国で目標値達成が困難になっている国は、原発をほぼ止めている日本と、これから全部止めようとしているドイツだ。

■フィジーの島々は沈みつつあるのか

さて、COPがお祭りのようになって、すでに久しい。その原因は背後で莫大なお金が動くからだ。しかも、決めたことに拘束力はないから、かなり気楽。

資金源の一つである国際基金「グリーン気候基金」の理事国は、12人が先進国、あとの12人は小島嶼国と発展途上国。資金の拠出国としては、アメリカ(30億ドル)、日本(15億ドル)を筆頭に、イギリス(12億ドル)、フランスとドイツ(10億ドル)、スウェーデン(5.8億ドル)となり、この6国ですでに8割以上を負担している(2017年12月時点)。

集まったお金の半分が途上国の温暖化対策支援に、もう半分は水没の危機にある島嶼国や異常気象に悩まされる途上国に回される。そればかりか、国連はさらに同基金を通じて、2020年までに先進国から途上国へ毎年1000億ドルの資金を支援する目標を掲げている。

こうなると、COPとは節分の日の境内のようなものだ。先進国がまいた豆を途上国が嬉々として奪い合う。ただ、節分と違うのは、そのお金が誰の懐に入るのかがよくわからない。そして、それを、後でどこの国のどの企業が吸い上げるのかも不明だ。




5日、会場の前で腰蓑をつけて踊っていた何十人もの浅黒く、逞しいフィジーのダンサーたちは、6日の開会式でも華々しいパフォーマンスを繰り広げた。額には黒い文様が描かれ、手には葉っぱで作った大きな団扇のようなのを持っている。

皆、生き生きと楽しそうだ。そして、フィジーの大統領が祖国の窮状を訴える。「世界が、現代の最大の挑戦に対して決然と行動しなければ、私たちの知っている太平洋は無くなってしまうだろう」と。




南ドイツ新聞は書く。「多くの島はもう無くなってしまった」と。「一部の人々は、朝起きると、くるぶしまで水に浸かっている」というキャプションで、水浸しの場所でポツンと立っている人の写真が出ている。

オノ島の写真だそうだ。「だから、村全員が移住しなくてはいけない」。

実は、こういうニュースは数年前から常にあった。素直な私はそれを読み、なんと気の毒なことかと心を痛めた。

しかし、ふと気づく。この写真は何かおかしい。まるで台風の後のようだ。朝起きてくるぶしまで水? そもそも、国が沈みつつあるというのに、ドイツや日本の旅行社が何も気づいていないのも変だ。

フィジーの島々へのツアーはたくさんある。「自然がいっぱい!」「憧れの南国、フィジー」「離島発着のフェリーの玄関口で、ショッピングやおしゃれなレストランが人気の観光スポット」etc.

ドイツのページを見ても、「お子様連れの家族旅行にもおすすめ」だとか。

■気候変動は“金のロバ”

ネットで検索しているうちに、興味深いページを見つけた。著者は、太平洋の“最も早く沈む国”といわれる「ツバル」について、現地在住の日本人の情報を伝えている。

その内容をかいつまんで言えば、ツバル近海の海面は、毎年平均2mm程度しか上昇していないという。

ただ、強風による高潮被害が発生するので、よく洪水になる。海岸の侵食が進んでいるのは事実だが、それは、湖の埋め立てのために土砂を取ったこと、あるいは、サンゴ礁掘削工事などが主な原因であると考えられる。また、観光客向けの強引な土地開発が、地盤沈下を引き起こしているともいう。

フィジーも似たようなものなのだろうか?

ドイツには、「南洋の政治家たちは、とっくの昔に“気候変動”が“金のロバ”であることに気づいた」と書くサイトもある。金のロバとは、グリム童話に出てくるロバで、「ブリックレブリット!」と言うと、口とお尻からどんどん金貨を出す。そういう意味では、ドイツも日本も優秀な金のロバだ。

一方、アメリカは最近、ロバを辞めたがっている。吐き出したお金が本当に困っている人の役に立っておらず、また自国の企業にも十分に還元できていないことに気づいているからだろう。

何を信じるかは個人の自由だが、私は今では、CO2が原因で南洋の島が沈んでいくという話だけは、丸ごとは信じなくなっている。


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